心理療法については、 一般に日本では、医者やカウンセラーからの助言を中心としたカウンセリ
ングが中心です。それと薬物療法の組合せだけでも充分に治ることが多いものです。しかし、なか
なか治りにくいうつ病の場合には薬物療法もそうですが、心理療法も本格的なものを使わなければならないこともあります。
最近、うつ病には認知療法がさかんです。うつ病になりやすい人は、幼児期より否定的な見方を
しやすい素質をもっているものです。このような認知を、「歪んだ認知的スキーマ」と呼んでいま
す。歪んだ否定的認知や考え方をもちやすい人に、ストレスが起こると、悲観的考えが前面に出て
きます。それが強いうつ気分を引き起こし、うつ病に到ると考えられます。
問題は、このような否定的な思考が自分でも知らないうちに、 つまり自動的に起こってしまって
いることにあります。知らないうちに起こっている思考パターンに気づかせ、改善するのが認知療
法の目的なのです。
自分は、完全に仕事ができなければ人から好かれないということを、自分でも知らないうちに信
してしまっているような人の場合、仕事でなにかつまずけば、当然、自分は仕事に失敗した人間だ、
人に嫌われてしまう、人に見捨てられてしまう、誰からも無視されてしまうと考えてしまうことは
よくあることです。これに本人が気がつけばいいのですが、気づかないために、ちょっとした仕事
の失敗で、うつ病になりやすくなってしまうのです。この点を気づかせるのが重要なことです。
この認知療法では、 一方的に治療を受けるのではなく、うつ病者と治療者が一緒に話し合いなが
ら、共同作業で否定的自動思考を見つけることが重要なことです。
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